アブストラクト(42巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 術前左室収縮末期容積からみた逆流性弁膜疾患の手術成績
Subtitle :
Authors : 中野清治, 中谷速男, 萩野生男, 打田俊司, 石戸谷浩, 北村昌也, 遠藤真弘, 橋本明政, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 9
Page : 1282-1288
Year/Month : 1994 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年以降単弁置換術を行った純型大動脈閉鎖不全症(AR)249例, 僧帽弁閉鎖不全症(MR)189例に対し術前左室収縮末期容積係数(ESVI)と予後との関係を検討した. ARをESVIによりA1:200ml/m2以上16例, A2:150以上200未満33例, A3:100以上150未満75例, A4:100未満125例の4群に, MRをM1:100ml/m2以上23例, M2:60以上100未満84例, M3:60未満78例の3群に分類した. 病院死を含めた早期死亡率は, A1 0%, A2 6.0%, A3 5.3%, A4 1.6%, M1 0%, M2 3.6%, M3 5.1%であった. 術後急性期にARの8%, MRの16%に大動脈内バルーンパンピングを使用した. また, ARの2例, MRの2例に左心バイパスなどの補助循環を必要とした. 手術死亡を含めた実測生存率は, 12年でA1 69%, A2 71%, A3 94%, A4 91%とA1, A2がA3, A4に比べ有意に低値を示した. A1, A2群での遠隔死亡の原因は57%が不整脈死と考えられた. 一方, MR群では, M1 84%, M2 87%, M3 89%と各群間に有意差を認めなかった. 心臓超音波による評価で, 術後早期に左室径と短縮率が正常化したのはA4だけであった. A2, A3は遠隔期に正常に近づいたが, A1は低左心機能のままであった. AR, MRともESVI拡大例でも手術により救命は可能であったが, ESVI150ml/m2以上のARでは遠隔予後は不良であった. 手術時期の遅れたARにおいて, 遠隔成績向上のためには不整脈のコントロールが重要である. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1282-1288)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 僧帽弁閉鎖不全症, 左心機能, 左室収縮末期容積, 遠隔成績
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