アブストラクト(42巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 正常心及び急性心不全モデルにおける左心補助による右心機能の実験的研究-コンダクタンスカテーテルの右心室への応用-
Subtitle :
Authors : 北野満**, 朴昌禧*, 西村和修*, 岡本好史*, 伴敏彦*
Authors(kana) :
Organization : *京都大学医学部心臓血管外科, **武田病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 9
Page : 1320-1329
Year/Month : 1994 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左心補助循環による左心圧及び形態の変化に対する右心機能の評価を雑種成犬を用い施行した. 対象は正常心13頭と大動脈遮断による急性心不全12頭の2グループに分け計18頭を用いて行った. 左心補助は定常流遠心ポンプを用い, 完全脱血による右室機能の変化をより正確な容積変化を求めるため, コンダクタンスカテーテルを右室に応用した. 右室の圧-容積曲線をリアルタイムに描出させ右心房から容量負荷を加え, その曲線の変化を解析した. 3頭の正常心においてコンダクタンスカテーテルで求めた一回拍出量(SV)と主肺動脈においた電磁血流計で求めたSVは良好な直線回帰を示した(r2=0.73~0.98). 右心機能の評価はload independentな評価法を用い, 収縮能をmaximum elastance(Emax), 拡張能を拡張末期圧-容積関係(EDP/VR), 収縮のperformanceとして仕事量-拡張末期容積関係(SW/EDVR), 右室全体のperformanceとして仕事量-拡張末期圧関係(SW/EDPR)を求め左心補助前後で比較した. 正常心ではEDP/VR, SW/EDVRのそれぞれ右方, 下方への偏位は有意であったが, 傾きにどれも有意差は見られなかった. 一方, 急性心不全モデルではEmaxの右方偏位及びEDP/VRの右下方偏位が有意で, SW/EDVR, SW/EDPRの傾きがそれぞれ0.14±0.08から0.18±0.08(p<0.05), 0.22±0.15から0.34±0.19(p<0.01)へと有意に増加した. その結果左心補助による左心室の減圧と心室中隔の偏位は右心室に対して良好な拡張能と後負荷軽減を与え, 急性心不全時には, 特にそれが顕著になり, 右心室には好都合に働くという結論に達した. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1320-1329)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 補助循環, 右心機能, 左心バイパス, コンダクタンス, 右室容積
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