アブストラクト(42巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環手術における術中脳波モニタリングの検討
Subtitle :
Authors : 大音俊明***, 本間甲一***, 高原善治****, 瀬崎登志彰*, 須藤義夫*, 村山博和*, 中村常太郎*
Authors(kana) :
Organization : *千葉県立心肺センター鶴舞病院心臓血管外科, **千葉県立心肺センター鶴舞病院神経内科, ***国立循環器病センター心臓血管外科, ****千葉大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 10
Page : 1885-1891
Year/Month : 1994 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環(ECC)を用いた手術における脳合併症の発生は, 通常麻酔から覚醒した後でなければ判定困難である. しかし術中に判定することができれば術中あるいは術直後からの治療開始が可能となる. われわれは脳合併症の発生を術中に捕えることを目的として術中脳波のモニタリングを行った. 症例は1992年6月から12月に当院で行った成人ECC手術42例で, 42例中39例は通常のECCを行い3例は逆行性脳灌流を行った. 脳波の検討は振幅と周波数について行い, 振幅の検討には藤森法による実測値と紙面低速度記録法による圧縮脳波を用い, 周波数の検討にはcompressed spectral array(CSA)を用いた. 通常のECC手術39例では術後脳合併症の発生はなかった. 振幅の実測値はECC前23±4.0μV, ECC中19±4.0μV, ECC後23±4.9μVであり, 前から中へは有意(p<0.001)な低下を認めた. また振幅を比率で表すとECC中/ECC前比(D/B比)0.82±0.16, ECC後/ECC前比(A/B比)1.01±0.15であった. 圧縮脳波及びCSAでは食道温の変化に平行した振幅及びpower spectrumの増加減少がみられた. 逆行性脳灌流を行った症例では3例とも逆行性脳灌流施行中脳波は平坦となったが, ECC終了時でも平坦のままであった1例でのみ脳合併症が発生した. 今回の結果から正常例では術中脳波の変化は主として脳実質温に依存していると考えられ, 振幅の回復が遅い症例では脳合併症の存在が示唆された. 振幅の回復がA/B比0.85以上を安全域と考えた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1885-1891)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術中脳波, 圧縮脳波, 脳合併症, 体外循環手術, 逆行性脳灌流
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