アブストラクト(42巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 運動負荷呼気ガス分析による肺癌術前心肺機能スクリーニング検査-特にVo2max/m2による-
Subtitle :
Authors : 永松佳憲*, 小野博典*, 平木啓正*, 松尾敏弘*, 光岡正浩*, 高森信三*, 林明宏*, 山名秀明*, 林田良三**, 掛川暉夫*
Authors(kana) :
Organization : *久留米大学医学部第1外科, **古賀病院呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 10
Page : 1910-1915
Year/Month : 1994 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌手術症例に対して術前に運動負荷呼気ガス分析を行い, 最大酸素摂取量(Vo2max)に焦点をしぼり術後合併症との関係を検討し, Vo2max/m2のcut off値の決定を試みた. 更に, スパイロメトリーによる換気機能を中心とした肺機能検査及びスワンガンツカテーテルによる肺循環を中心とした肺機能検査と比較し, 本検査法が術前換気及び肺循環機能を同時に評価できるスクリーニング検査法として有用であるか否かを検討した. 肺癌手術症例中, 一葉切除術以上を施行した111例を対象とし, 術前に運動負荷呼気ガス分析によりVo2maxを測定し, Vo2max/m2を算出した. 次に, 術前にスパイロメトリーによる肺機能検査とスワンガンツカテーテル挿入により, VC, %VC, FEV1.0, FEV1.0%, 平均肺動脈圧(PPA), 心拍出係数(C.I.)を測定し, VC/m2, FEV1.0/m2と総肺血管抵抗(TPVR)を算出した. 術後合併症の発生率によって, Vo2max/m2のcut off値を600ml/min/m2, 650ml/min/m2, 700ml/min/m2の3段階に仮設定した. 次にそれぞれのcut off値を基に対象を, その上下で2群にわけ, この2群間でスパイロメトリーによる測定値を比較したところ, VC/m2, %VC, FEV1.0/m2はいずれのcut off値においても両群間に有意差を認めた. 同様に, スワンガンツカテーテルによる測定値を比較したところ, PPA, TPVRはいずれのcut off値においても両群間に有意差を認めた. 以上の結果より仮設定したVo2max/m2のcut off値は, いずれの設定値でも十分に換気機能及び肺循環機能を総括して評価できたが, 肺切除術のスクリーニング検査としては偽陰性が最も少なく, 且つX2検定によるX2値が最も大きい700ml/min/m2がVo2max/m2のcut off値として最適と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1910-1915)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 術前心肺機能, 運動負荷呼気ガス分析, 最大酸素摂取量, 術後合併症
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