アブストラクト(42巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠状動脈バイパス術における逆行性冠灌流併用心筋保護法の有用性-左前下行枝閉塞例での側副血行路の形態による検討-
Subtitle :
Authors : 山口明満, 北村信夫, 木村俊一, 入江寛, 康徳光, 春藤啓介
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 10
Page : 1916-1924
Year/Month : 1994 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠状動脈バイパス術における心筋保護法として, 逆行性冠灌流の有用性につき, 左前下行枝(LAD)が完全閉塞で側副血行にて灌流されるか, あるいは99%狭窄で造影遅延を伴った症例46例を対象に2つの研究を行った. 研究1では46例を心筋保護の順行性群(A群)32例と, 順行性と逆行性冠灌流(RCSP)を併用した両方向性群(B群)14例に分類した. 酵素学的には, 総CPK値はA群では術後6時間目より急激に上昇したのに対し, B群の上昇は緩徐であり, 術後12時間目と術後1日目に有意差を認めた. CPK-MB値はA群では術後6時間目より急激に上昇したのに対し, B群では術直後が最も高値を示し以後減少した. peak CPK値もB群が有意に低値を示した. 研究2ではA群32例を術前の冠状動脈造影検査より, LADがうける側副血行路の形態で3群に分類した. I群:順行性側副血行群(18例), II群:逆行性側副血行群(7例), III群:99%狭窄で造影遅延を伴った群(7例), これに研究1のB群をIV群としてこの4群間を比較した. 総CPK値ではII群が経過中高値を示し, 術後12時間目でIV群と有意差を認め, 術後1日目ではI群, IV群に比し有意に高値を示した. IV群は低値並びにその上昇が非常に緩徐で推移した. CPK-MB値はIV群が術直後が最も高く以後漸次減少したのに対し, 他群は術後12時間目から術後1日目にかけて上昇しII群が最も高値を示した. peak-CPK値はII群, III群, I群, IV群の順に高く, II群とIV群に有意差を認めた. peak CPK-MB値は若干II群が高いが有意差はなかった. 以上の検討より冠状静脈洞よりの逆行性冠灌流を併用した両方向性群は, 酵素学的に順行性群より優れていた. 特に術前造影にてLADが逆行性に側副血行を受ける場合, 両方向性心筋保護法は有効である. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1916-1924)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 順行性心筋保護法, 逆行性心筋保護法, 側副血行路
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