Abstract : |
肺切除術施行患者31例を対象に術前後における運動負荷中の換気の変化について検討した. Vo2が300ml/minと500ml/minにおけるVco2は術前後で有意差がないが, Vo2が700ml/minにおけるVco2は術前542.0±78.3ml/minに対し術後595.5±85.2ml/minと有意(p<0.05)に増加した. またVEは45wattで術前後で差がないが60wattでは術前30.16±5.38L/minに対し術後33.89±4.69L/minと有意(p<0.005)に増加した. すなわち術後は術前より低負荷で換気が亢進した. 更にATは術前716.0±190.8ml/minに対し術後528.4±150.7ml/minと有意(p<0.001)に低下, △Vo2/△WRも術前31.5±4.0ml/min/Wに対し術後11.3±4.2ml/min/Wと有意(p<0.05)に低下した. また累積酸素摂取量の指標では術前4,070.2±3,468.8mlに対し術後5,095.3±3,854.5mlと有意(p<0.05)に増加した. これらはいずれも術後は嫌気性代謝が増加することを示していた. この増加が術後は術前より低負荷で換気亢進を来す原因であり, 耐運動能低下の一因となっていると考えられる. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2015-2022) |