アブストラクト(42巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Stanford A型急性大動脈解離の外科治療
Subtitle :
Authors : 幕内晴朗**, 重田治*, 深田睦*, 金子幸裕*, 今中和人*, 奥脇英人*, 卓馬紳*, 小西敏雄*
Authors(kana) :
Organization : *横浜労災病院心臓血管外科, **虎の門病院循環器センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 11
Page : 2041-2047
Year/Month : 1994 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Stasford A型大動脈解離12例に対し, 急性期外科治療を行った. 男女比は3:9で, 年齢は47~79(平均61.3)歳であった. 主訴は胸背部痛が大部分で, 意識消失発作は4例であった. 8例に高血圧の既往があり, 解離の合併症としては, 心タンポナーデ2例, 心筋梗塞が1例, 一過性片麻痺1例, 対麻痺1例であった. また, 中等度以上の大動脈弁逆流を5例に認めた. 1例を除き全例来院後24時間以内に手術を行った. 弓部にエントリーのあった2例を含め, 全例上行大動脈置換を施行した. 1例はAVRを, 3例にはCABGも同時に行った. 遠位吻合は体循環停止, 逆行性脳灌流下に, 大動脈を遮断せずに行った. 遠位吻合終了後, 末梢に解離腔の残存する症例では, あらかじめグラフトに縫着した側枝から順行性に送血を再開した. 術前心筋梗塞を合併して心肺蘇生下に手術室に移送した1例を3週後に, 粘液水腫合併例で術後3ヵ月目に脳出血を起こした1例を6ヵ月後に敗血症で失った他は, 全例無事退院した. 体循環を100分停止した症例も覚醒良好で, 神経症状を呈した症例はなかった. 術後検査で, 弓部の解離腔は1例を除き閉塞していた. 以上, Stanford A型大動脈解離に対する急性期外科治療は, 逆行性脳灌流, 体循環停止下に上行置換のみを行うことにより, 良好な結果が得られた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2041-2047)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Stanford A型, 急性大動脈解離, 外科治療, 逆行性脳灌流, 上行大動脈置換術
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