アブストラクト(42巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 形状記憶合金ステントを用いた気道内固定の実験的研究
Subtitle :
Authors : 吉村雅裕*, 津川力**, 坪田紀明*
Authors(kana) :
Organization : *兵庫県立成人病センター胸部外科, **兵庫県立こども病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 11
Page : 2054-2059
Year/Month : 1994 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 気道の狭窄性病変に対する新しい治療法の開発を目的として, 気管軟化症を実験モデルに, 形状記憶合金(Shape Memory Alloy:SMA)でコイル型ステントを作製し気道内固定の実験的研究を行った. SMAはチタンとニッケルの合金で, その組成比は50:50である. コイル型ステントを幅1.9mm, 厚さ0.25mmの板状SMAから作製し, その形状復元温度(37℃)における内腔保持力を550g/cm2に設定した. ステント表面には気管組織に対する親和性の向上と金属の融出防止を目的としてテフロン・コーティングを行った. 気管軟化症は家兎(n=8)の頸部気管軟骨をメスによる乱切と用指的圧迫骨折にて作製し, 硬性気管支鏡で気管のスリット状の虚脱を確認した. SMAステントを-50℃で小さなコイル状に変形した後, 直ちに気道虚脱部へ挿入, 留置した. 留置されたステントは体温で加温されると1~2分で記憶した元の形状に復元し, 虚脱部を十分に開大した. 犠牲死の3羽(6, 8, 10ヵ月)において, 留置されたステントは移動することなく虚脱部を良く開大し, 内腔の開存も良好であった. 組織学的にステント留置部位に気管粘膜の剥脱と軽度の限局性炎症細胞浸潤はみられたが, 基底膜と気管壁の構造は良好に保たれ肉芽組織の形成はほとんどなかった. また, 残り5羽の術後経過(24~18ヵ月)も順調で, 本ステントは臨床応用が可能と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2054-2059)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 形状記憶合金, 気管内ステント, 気管軟化症, 気管狭窄
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