アブストラクト(42巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺癌8手術例の臨床病理学的検討
Subtitle :
Authors : 伊藤秀幸, 小原徹也, 笹野進, 大貫恭正, 新田澄郎
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 11
Page : 2060-2067
Year/Month : 1994 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腺癌は胸腺上皮細胞由来の比較的まれな悪性腫瘍であるが, 近年その報告が増えている. 最近5年間にわれわれが経験した8例は, 男性5例, 女性3例で平均62歳, 組織学的には扁平上皮癌3例, 腺癌1例, 未分化癌4例であった. 自覚症状にて発見されたものが8例中6例. 重症筋無力症などの合併症はいずれも認めなかった. 胸部単純X線にて横隔挙上を認めたものが3例, 胸部CTにて縦隔のリンパ節腫大を認めたものが6例と高率であった. 全例1期的に手術を施行したが, 完全摘出し得たのは2例で, 原発巣のみの切除が2例(2例は播種巣を遺残, 1例は胸壁浸潤部を遺残), 生検が3例であった. 開胸にてはじめて胸膜播種を確認したものが5例あった. 全例に術後放射線あるいは化学療法を施行した. 縦隔胸膜までの浸潤で完全摘出し得た扁平上皮癌の1例のみ術後5年再発, 転移なく生存中であるが, 他は全例術後4ヵ月から2年5ヵ月以内に腫瘍死し, 予後不良であった. 進行病期の手術適応についてはその組織型等も考慮し, 慎重を要すると思われる. パラフィン標本上での免疫組織染色ではEMA(epithelial membrane antigen)の陽性率が胸腺腫に比し高率であり, 腫瘍細胞の悪性度の指標となり得る可能性が示唆された. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2060-2067)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺癌, 胸腺上皮性腫瘍, 画像診断, 外科適応, 免疫組織染色
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