アブストラクト(42巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 経皮的カラーパルスドプラー法による内胸動脈グラフトの血流測定
Subtitle :
Authors : 竹村博文, 川筋道雄, 榊原直樹, 松本康, 藤井奨, 牛島輝明, 渡辺洋宇
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 12
Page : 2171-2177
Year/Month : 1994 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 経皮的カラーパルスドプラー法を用いて, 37例で冠状動脈バイパス術前と術後1ヵ月に, 左前下行枝に吻合した内胸動脈グラフトの血流測定を行った. 探触子は7.5MHzを用い, 第1肋間から走査した. 内胸動脈の内径は術前2.2mmから術後2.4mmに有意に増大した. 術前は収縮期優位の血流波形であったが, 術後は拡張期流速, 拡張期流量とも有意に増加し, 拡張期優位の波形になった. 症例を前壁梗塞の既往があり, 心筋シンチグラムで再分布のない群(I群), 前壁梗塞がないか, あっても負荷心筋シンチで再分布(+)の症例で, 冠状動脈狭窄度が99~100%(IIa群), 90%(IIb群), 75%(IIc群)の4群に分け, 内胸動脈グラフト血流量を比較検討した. グラフト血流量はI, IIa, IIb, IIc群でそれぞれ57, 73, 43, 34ml/minで, IIb群で最も多かった. またII群の中では冠状動脈狭窄の軽度なほど, グラフト流量は少ない傾向にあった. また各群の拡張期血流の占める比率はそれぞれ, 72, 69, 61, 59%で, I群で大きい傾向にあり, II群の中では冠状動脈病変が軽度なほど小さい傾向にあった. 冠状動脈の軽度狭窄症例では, 内胸動脈グラフト血流は, 自己冠状動脈血流と拮抗することが示唆された. 経皮的カラーパルスドプラー法は, 内胸動脈グラフト血流の非侵襲的測定が可能で, 血流パターンの評価より, 術後の経時的観察に有用であると思われた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2171-2177)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : カラーパルスドプラー, 内胸動脈, グラフト血流, 冠状動脈バイパス術
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