アブストラクト(42巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環時におけるサイトカインの変動
Subtitle :
Authors : 古永晃彦
Authors(kana) :
Organization : 山口大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 12
Page : 2200-2206
Year/Month : 1994 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環(CPB)前後におけるサイトカインの変動とその生体への影響を評価する目的で, 待機的開心術25症例に対し炎症性サイトカイン及び顆粒球エラスターゼ(GEL)を測定した. 炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF-α), インターロイキン1β(IL-1β), インターロイキン6(IL-6), インターロイキン8(IL-8)の血中濃度を体外循環前, 体外循環終了直後, 術後1, 3, 6日目にそれぞれ測定した. 同時にサイトカインの全身への影響を検討するため体外循環後の臓器障害に関連が深いとされている顆粒球エラスターゼの血中濃度を測定した. 結果:体外循環開始前IL-6, IL-8, GELは各々29.23±6.73pg/ml, 2.92±1.65pg/ml, 181.41±128.98μg/Lであったが, 体外循環終了直後には各々147.81±149.81pg/ml, 36.73±35.52pg/ml, 2,182.57±1,757.25μg/Lといずれも体外循環開始前に比べ有意に上昇した(p<0.01). 以後IL-6, IL-8, GELは体外循環終了後急速に低下した. 体外循環終了直後のIL-6, IL-8値は, 体外循環時間に相関した(各々r=0.612, p<0.01, r=0.707, p<0.001). 臓器障害の指標となるGELとIL-8とは各測定時において有意な正の相関関係を示した(r=0.733, p<0.001). TNF-α, IL-1βは25例中3例に体外循環終了直後に検出したのみであったが, この3例の体外循環時間はいずれも250分以上であった. TNF-α, IL-1β, が検出された症例は体外循環時間が長く術後経過が重症化する傾向にあった. 以上よりIL-6, IL-8は開心術の手術侵襲を評価する良き指標と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2200-2206)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, サイトカイン, 顆粒球エラスターゼ, 手術侵襲
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