| Authors ： |
西元寺秀明, 豊平均, 下川新二, 森山由紀則, 戸田理一郎, 福田茂, 増田宏, 山下拓哉, 平明 |
| Abstract ： |
70歳以上の弁膜症の手術成績を検討した. 対象は1986年1月から1993年6月までに手術した70～76歳（平均71.2歳）の21例である. 大動脈弁疾患10例, 僧帽弁疾患9例, 連合弁疾患2例で, NYHA機能分類ではII, III, IV度が各9, 8, 4例であった. これに対してAVR, MVR, MVR+TAP, OMC, AVR+MVR+TAP, AVR+MAPを各10, 4, 4, 1, 1, 1例に, またACBG, arch replacementを各1例に同時に行った. 人工弁は機械弁を11例に12個, 生体弁を9例に9個使用した. 術前の臓器機能障害と術後合併症の関連, 手術成績に関連の因子, 遠隔成績について検討した. 術前低心機能の11例中2例, 肝機能障害の3例中1例に術後合併症がみられたが, 肺機能障害, 腎機能障害が術前にみられた症例に術後の合併症発生はなく, 術前の臓器機能障害と術後の合併症発生に関連性はみられなかった. 術後30日以内の手術死4例, 病院死2例で, 早期死（手術死及び病院死）に関連の因子は長時間の体外循環時間, 大動脈遮断時間が有意な関連を示した. 弁関連の術後合併症は1例にみられ, 7年での合併症非発生率は83.3％であった. 遠隔死は心不全による1例で, 累積生存率は7年で93.3％であった. 生存例の86％にquality of lifeの向上がみられた. 高齢者弁膜症の早期死亡は28.6％と高値であった. 耐術生存の遠隔成績は良好で, 弁関連合併症も低頻度であり, その成績はほぼ満足するものであった. （日本胸部外科学会雑誌1995；43：32－36） |
