アブストラクト(43巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔腫瘍と鑑別困難であった血栓閉鎖型外傷性胸部大動脈瘤の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 河内秀幸, 中村昭光, 橋本宇史, 中路進
Authors(kana) :
Organization : 京都第一赤十字病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 1
Page : 87-90
Year/Month : 1995 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 慢性期の外傷性胸部大動脈瘤は比較的まれであるが, 胸部打撲後30年を経過した慢性期の血栓閉鎖型外傷性胸部大動脈瘤の1手術例を経験した. 症例は縦隔陰影を主訴とする59歳, 男性. 術前検査のCTとMRIで胸部大動脈峡部に内部不均一な腫瘤が存在し, 大動脈造影で明らかな嚢状瘤を認めなかったことから腫瘍を疑って手術を施行した. 手術時所見で径3cmの血栓閉鎖した嚢状の仮性大動脈瘤と判明し, 瘤近傍の大動脈壁が正常であったため, partial clamp下に瘤を切除して破裂孔を直接縫合閉鎖した. 瘤は比較的硬い線維性被膜を有し, 内腔には液状部分が一部存在した. 病理組織学的に本症例の仮性瘤は30年前の胸部打撲以後のある時点で血栓閉鎖した遅発性動脈瘤と考えられた. 胸部外傷後は仮性胸部大動脈瘤の発症を念頭において経過観察することが重要である. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:87-90)胸部外傷に伴う胸部大動脈損傷は心臓損傷と比較すると少なく1), 受傷後早期には出血で死亡する症例が多いことから慢性期に仮性大動脈瘤として手術されることはまれ2)である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 外傷性胸部大動脈瘤, 胸部外傷後, 仮性動脈瘤
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