アブストラクト(43巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌に対するCisplatin, 5-FU, Leucovorin3剤併用による術前化学療法の臨床・病理学的研究
Subtitle :
Authors : 吉田一成, 井手博子, 林和彦, 中村努, 江口礼紀, 羽生富士夫
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学消化器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 2
Page : 159-167
Year/Month : 1995 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 生体内修飾を用いた5FU+Leucovorin併用化学療法にCDDPの相乗効果をも期待したCDDP+5FU+Leucovorinによる食道癌の術前化学療法を29例に施行し, その臨床効果と病理組織の比較検討を行った. 臨床効果では, 原発巣は69.0%の奏効率を呈し, その効果は深達度の浅いものほど高い傾向にあった. 壁内転移巣では奏効率81.8%, 上皮内伸展巣は100.0%と非常に奏効した. しかし, リンパ節転移巣では奏効率40.7%であった. 組織効果では原発巣は55.2%の奏効率で, 臨床効果と比し若干低い結果であった. 臨床効果が奏効し組織効果が無効であった症例が7例, 組織効果が臨床効果より良好なもの3例をみた. 臨床効果の方が良好であったものの理由として壊死に陥った癌巣が組織標本採取時に吸収消失されてしまっていたもの, 術前評価後に再増殖が生じたと考えられたもの, 先進部分で癌の遺残があり効果が低いと判定したものがみられ, 組織効果が良好であったものは壊死組織が残存し縮小率が低く判定されたもの, 腫瘍下に筋腫を合併していたものがあった. 壁内転移巣では奏効率42.9%であった. リンパ節転移巣は転移のあったリンパ節209個で検討し, 全体としては奏効率23.0%であり, 部位別には腹部が頸部・胸部と比して効果の低い傾向にあった. 術前放射線照射症例との組織所見の比較検討では, 照射群は線維性瘢痕組織, 異物巨細胞, 空胞変性, 硝子様変性などの変化が有意に化療群より高い頻度でみられた. また, 脈管侵襲に対する効果も照射群の方が高いなどの相違がみられた. 本化学療法施行例の予後は, 臨床効果と組織効果別で双方とも有意差をもって奏効例が良好であるも, 組織効果の奏効例の方が臨床効果の奏効例より生存率が良好な傾向にあった. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:159-167)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 術前化学療法, Cisplatin, 5-FU, 生体内修飾
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