アブストラクト(43巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 犬同種肺移植に伴う急性拒絶反応の進行とドナー特異的細胞傷害性Tリンパ球の進展様式との関係
Subtitle :
Authors : 関根康雄*, 山口豊*, 斎藤幸雄*, 武田恒弘*, 吉田成利*, 藤澤武彦*, 卜部憲和**
Authors(kana) :
Organization : *千葉大学医学部肺癌研究施設外科, **沼津市立病院呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 2
Page : 174-180
Year/Month : 1995 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 犬同種肺移植実験において肺胞洗浄液・末梢血液・移植肺及び脾臓内より採取された単核球によるドナー特異的細胞傷害活性と拒絶反応との関係について検討した. 対象は雑種成犬28頭で, 15頭には免疫抑制剤を投与せず, 13頭に対してはcyclosporine A20mg/kg/day10日間の経口投与を行った. ドナーより効果細胞として末梢血中リンパ球(PBL)・気管支肺胞洗浄液中リンパ球(BAL)・移植肺浸潤細胞(GIL)・脾細胞(SpL)を採取し, ドナー皮膚線維芽細胞を標的とした51Cr放出試験を行い, 各細胞傷害活性と移植肺病理組織所見とを比較した. E:T比=100:1において, early alveolar phaseではPBL6.04±4.92%, BAL19.83±14.92%, GIL10.23±11.50%であるのに対し, late alveolar phaseではPBL30.83±15.28%, BAL72.63±7.36%, GIL70.07±6.34%を示した. GIL・BALではearly alveolar phase以降で, PBL・SpLではlate alveolar phaseで細胞傷害活性の明らかな上昇が認められた. 特にBALでは拒絶反応の進行に伴ってその活性も上昇しており, またlate alveolar phaseではPBLに比較してBAL・GILにおいてより高値を示した. これらの成績から, 肺移植後の拒絶反応において重要な役割を演ずるドナー特異的細胞傷害性Tリンパ球は, 移植肺局所で活性化され, 局所から全身へと進展する可能性が示唆された. また肺炎の場合活性の上昇がみられず, 拒絶反応との鑑別が可能であったことから, 本法は急性拒絶反応におけるCTLの解析において極めて有用な方法であることが示された. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:174-180)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺移植, 急性拒絶反応, BAL, 移植肺浸潤細胞, 細胞傷害性Tリンパ球活性
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