アブストラクト(43巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 広範囲肺動脈塞栓症手術症例の検討
Subtitle :
Authors : 下川新二*, 豊平均*, 岩村弘志*, 渡辺俊一*, 松永幸宏*, 宇都光伸*, 前田正彦*, 平明*, 宮原健吉**
Authors(kana) :
Organization : *鹿児島大学医学部第2外科, **新杏病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 2
Page : 191-195
Year/Month : 1995 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 広範囲肺動脈塞栓症の外科治療症例は本邦ではいまだ少ない. われわれは本症手術4例を経験し3例を救命したので, これらの症例を通して外科治療上の問題点を検討した. 症例は男女各2例(41~72歳, 平均63歳)で, 1例での誘因は下肢深部静脈血栓症であった. 初発, 再発各2例で, 3例が術前にショック状態で, 2例では失神があり, 他に1例では肺動脈造影(PAG)中を含めて2回の心停止を生じた. 肺動脈収縮期圧は60~80mmHgと上昇し, 動脈血ガス分析では全例に低酸素血症, アシドーシスを認めた. 確定診断のために3例にPAGを行い, 1例では肺血流シンチグラフィーも行った. 全例血栓溶解療法の効果はみられず, 発症から4時間ないし5日後に体外循環下に塞栓摘除術を行った. 術前に心停止を生じた1例を低心拍出症候群及び重症呼吸不全で術後1日目に失ったが, 救命した3例では症状の改善が得られた. 迅速且つ非侵襲的な診断法の確立, 重症例での即座の心肺補助, 外科治療適応の早期判断が本症外科治療成績向上につながると考える. 再発例で術中大量の気道内出血にて肺部分切除を余儀なくされた. 肺の用手的圧迫, Fogartyカテーテルによる塞栓摘除は肺動脈損傷の危険を伴うので慎重に行うべきである. 症例によっては再発防止に術後, 下大静脈内フィルター留置を考慮すべきである. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:191-195)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 広範囲肺動脈塞栓症, 体外循環, 塞栓摘除術, 手術適応, 下大静脈フィルター
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