Abstract : |
症例は50歳, 男性. 動脈側房室弁(三尖弁)閉鎖不全症(Sellers分類IV/IV度), 静脈側房室弁(僧帽弁)閉鎖不全症(Sellers分類III/IV度), 心房中隔欠損症を合併し, 心房細動及び多発性心室性期外収縮を伴うSLL型修正大血管転位症(C-TGA)である. 三尖弁に僧帽弁用Carpentier-Edwards ring(C-E ring)を, また僧帽弁に三尖弁用C-E ringを用いた両側弁形成術を施行した. 術後, 三尖弁に軽度の逆流残存を認めたものの心室性期外収縮は減少, NYHA III度からI度へと改善し, 術後3年目の現在元気に生活している. C-TGAに合併した三尖弁閉鎖不全症では弁置換が多くの場合選択され, 弁形成術が行われることはまれで, 本邦では文献上6例のみであった. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:417-422)修正大血管転位症(以下C-TGAと略す)は心房心室錯位(atrio-ventricular discordance, AVD)と大血管転位(ventriculo-arterial discordance)とを伴うまれな先天性心疾患の1つであり1), 各種の心内奇形を伴うことが多い2)~6). |