アブストラクト(43巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管支形成術後の気管支循環に関する実験的検討-主気管支残存量の影響-
Subtitle :
Authors : 由岐義広, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 4
Page : 423-431
Year/Month : 1995 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 気管支形成術における主気管支残存量が気管支循環回復過程にどのような影響を与えるか雑種成犬(n=32頭)を用いて検討した. A群(n=16頭)は主気管支をほぼ残存させ, 吻合口をほぼ胸腔内に位置させた. これに対しB群(n=16頭)は主気管支の気管支軟骨を1~2ring残存させ, 吻合口を縦隔内に置いた. その後4週間にわたり組織スペクトラム計を用い反射スペクトラム法により気管支粘膜中の組織ヘモグロブリン量及び酸素飽和度を測定した. また併せて気管支鏡的観察を施行するとともに, 術後7日目, 14日目及び21日目にそれぞれA, B両群の2頭ずつを犠牲死し吻合部の組織学的検索を行った. 実験結果として, (1)術後の気管支循環の回復は3日目ころより始まった. 主気管支切除量が多い場合は, 縦隔側から末梢側気管支壁への動脈血流の流入も加わるため, 豊富な動脈血流が得られ, 術後5日目ころに急激な創傷治癒が促進すると考えられた. (2)気管支形成術後の気管支循環回復は術後14日目以降に完成されるが, 主気管支残存量が少ない方が末梢側気管支壁への動脈血流量が豊富であり, 気管支形成術後の吻合部治癒過程に有利であった. (3)術後の粘膜血液量測定結果及び気管支鏡診断では, 吻合部の治癒傾向は14日~21日であったが, 病理組織検査上は, 縫合糸を中心とした微細膿瘍の存在を認め完全な治癒はこれ以降とみられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:423-431)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管支形成術, 気管支循環, 吻合部血流, 吻合部治癒過程
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