Abstract : |
体外循環を使用して行った心臓, 胸部大血管手術156例中, 89例(57%)に術後心嚢液貯留を認めた. 心嚢液貯留の程度により無貯留群(N群)66例, 少量貯留群(S群)42例, 中等量貯留群(M群)22例, 多量貯留群(L群)25例の4群に分類して臨床像, 合併症, 発症因子について検討した. L群は, 有症状率68%と高く, 剣状突起下ドレナージ, 収縮性心膜炎などの合併症を44%と高率に併発していた. 術中術後因子の比較では, N群に比してL群のみ術中開胸率が低かった(p<0.05). 術後抗凝固療法と心嚢液貯留は関連を認めなかった. S, M, L群でN群に比して術後ドレーンからの排液量が多かった(p<0.05, p<0.05, p<0.005). CRP値再上昇の頻度は各群でほぼ等しかったが, 再上昇時のCRP値はL群で有意に高かった(p<0.05). 以上より術後ドレーン排液量, CRP再上昇時の値は心嚢液貯留に関連していると考えられた. 多量貯留例では有症状率, 合併症頻度が高く, 早期発見, 早期治療が重要である. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:446-451) |