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原発性肺癌の手術後急性期に発生した間質性肺炎8例に検討を加えた. これらの症例にはいずれも何らかの重篤な背景因子が認められ, 過去9年間の633手術例の1.3％に相当した. 全例が術対側肺に発生し, 発生時期は術後2～45日（平均18日）であった. 間質性肺炎のX線上の初期像は術対側下肺野の網状影であり, 次いでこれが上肺野に拡大し, やがて全肺野に波及した. これら8例中, 間質性肺炎の確診を得た後にステロイド療法を開始した初期の5例は全例死亡したのに対し, 発生の翌日, すなわちかすかな異常影のみで, いまだ臨床症状のない時期にステロイド療法を開始した最近の3例が救命された. 間質性肺炎の発生原因として, (1)本症が術後に最も血流の豊富である術対側下肺野より発生する, (2)発生直前に好酸球の上昇を認めることがある, (3)救命例では発症早期のステロイド療法や免疫抑制剤に反応した, などによりアレルギーあるいは自己免疫の関与が推察された. 肺癌術後の対側下肺野に特徴的な網状影の出現を認めた場合, 症状の有無にかかわらず間質性肺炎の発生を疑い, 躊躇なくステロイド療法に踏み切ることが肝要である. （日本胸部外科学会雑誌1995；43：452－457） |
