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心筋保護液の効果が電子伝達系の構成成分であるcoenzyme Q10（CoQ10）により増強されるか否かをラット摘出灌流心を用いて検討した. ＜方法＞Wistar ratの心臓をmodified KHBB液でworking灌流し, 虚血前心機能（大動脈流量, 冠灌流量, 心拍数）を測定した. 実験1：CoQ10添加St.Thomas液の注入と虚血再灌流を行った. 実験2：St.Thomas液の注入と虚血の後, Co10をLangendorff再灌流（15分間）中に投与した. 実験3：CoQ10を虚血前のLangendorff灌流中に10分間投与し, St.Thomas液の注入と虚血再灌流を行った. すべての実験で虚血後のworking再灌流（20分間）中に心機能を測定した. ＜結果＞実験1：CoQ10濃度が0, 29, 44, 58μmol/Lのとき, 大動脈流量回復率（％AF）はそれぞれ50.5±3.3, 55.9±4.4, 62.1±5.4, 71.4±3.1*％（*：p＜0.05）であった. 再灌流15分間のcreatine kinase（CK）漏出量はCoQ10濃度が58μmol/Lのとき最小値を示した. 実験2：CoQ10の再灌流中の投与（58μmol/L）では, ％AFは39.2±7.1％であった. （対照群：53.2±2.7％）. CK漏出量には両群間に差はなかった. 実験3：CoQ10の虚血前投与（7.5μmol/10min）では, ％AFは47.5±5.2％であった（対照群：43.8±1.8％）. CK漏出量には両群間に差はなかった. ＜結論＞CoQ10の心筋保護増強効果は心筋保護液に添加された場合認められたが, 再灌流中または虚血前に投与された場合は認められなかった. このことは, CoQ10の心筋保護効果が虚血中のミトコンドリア機能障害に対して発揮されることを示唆している. （日本胸部外科学会雑誌1995；43：466－472） |
