Authors : |
安藤誠, 今井康晴, 星野修一, 石原和明, 手塚光洋, 瀬尾和宏, 三隅寛恭, 寺田正次, 磯松幸尚 |
Abstract : |
右室-肺動脈間の流出路再建においてわれわれは近年, 従来の心外導管修復術にかわり自己組織を用いた修復を積極的に行っている. 1992年2月より1993年3月までの間に心内修復術を行った肺動脈閉鎖を伴うFallot四徴症は22例, うち20例に対して自己組織を用いて修復を行った. 肺動脈閉鎖の形態はvalvular+infundibular atresia(7例), truncal atresia(9例), 心外導管修復術後の再手術(4例)であった. valvular+infundibular atresiaでは流出路後壁を縫合形成した後パッチ流出路形成を行った. その他の症例では, 原則として右室-肺動脈間距離の短いものでは中心肺動脈を牽引し, 右室切開部後壁に直接吻合して流出路後壁を形成した後Xenomedica製弁付きパッチにて前面を被覆する直接吻合法を行った. 右室-肺動脈間距離の長い症例では, 遊離自己心膜にて作製した心外導管を右室と肺動脈との間に介在させ, 肺動脈幹を再建する自己心膜導管法を行った. 手術死亡はなく, 術後急性期の成績は安定していた. 術後に行った心臓カテーテル検査において右室/左室収縮期圧比は流出路パッチ形成術で0.50±0.05, 直接吻合法で0.54±0.14, 自己心膜導管法で0.45±0.02, また右室肺動脈圧較差は各々5.3±4.5mmHg, 10.7±5.9mmHg, 5.8±6.4mmHgと満足すべきものであった. 遊離自己心膜は伸展性に富み, 将来における成長が期待できたが, 様々な問題点も含んでおり, 遠隔期における評価が課題であると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:804-809) |