アブストラクト(43巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児開心術における充填液透析処置及び体外循環中持続透析の有用性
Subtitle :
Authors : 野村耕司, 山岸正明, 中村譲
Authors(kana) :
Organization : 埼玉県立小児医療センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 6
Page : 818-824
Year/Month : 1995 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児, 乳幼児開心術における体外循環充填液に対する透析前処置と体外循環中の持続透析の有用性について検討した. 体外循環回路に血液濾過器を組み込み, 充填液透析前処置と体外循環中の持続透析を行った5例を透析群(HD群), いずれの透析も行わなかった5例を対照群(C群)とした. 透析液の組成は, 乳酸化リンゲル2,000ml, ヘパリン2ml, メイロン40mlとした. 手術時年齢はHD群17±6.3ヵ月, C群で6.8±4.4ヵ月(NS), 体重はHD群で7.9±1.6kg, C群で5.6±1.4kg(NS)であった. 透析前処置によりHD群の充填液浸透圧は286±4.4mOsm/LとC群(312.6±1.9mOsm/L)に比し有意(p<0.01)に低下した. 体外循環開始30分間の尿量はHD群で0.77±0.4ml/kg/時, C群で0.21±0.1ml/kg/時とHD群で有意(p<0.05)に多く得られた. 臓器障害因子となるサイトカインの1つであるInterleukin-1も術後1, 12時間でHD群で有意(p<0.05)に低値を示した. 尿細管逸脱酵素の尿中α1-microglobulin(MG)と尿中β2-MGは術後1時間でともにHD群で有意に(p<0.05)低値を示した. また体外循環水分平衡はC群で+23.7±4.6ml/kgであったのに対して, HD群では-13.4±31.2ml/kgに抑さえることができた. 体液管理に難渋することの多い新生児, 乳児開心術において本法は浸透圧, 水分平衡維持, 臓器障害因子除去, 腎機能保護効果などが期待できる有用な一手段と考えられる. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:818-824)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 充填液透析処置, 術中持続透析, サイトカイン
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