アブストラクト(43巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 血性胸水を伴う限局性胸膜中皮腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 知久信明*, 大森一光*, 北村一雄*, 羽賀直樹*, 瀬在幸安*, 杉谷雅彦**
Authors(kana) :
Organization : *日本大学医学部第2外科, **日本大学医学部第1病理科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 6
Page : 903-907
Year/Month : 1995 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は25歳, 女性. 右背部痛を主訴に来院した. 外来受診から入院までの約3ヵ月間に胸部X線写真上, 右下肺野の腫瘤陰影は急速に増大しており, 血性の胸水も認めた. 胸水細胞診ではclass III, 経皮的肺生検ではspindle cell tumorで病理確定診断は得られなかった. 胸腔内には血性胸水を約500ml認めた. 腫瘍は壁側胸膜より広基性に発生しており, 右肺下葉とも癒着していた. 肺部分切除と第8~第10肋骨の胸壁合併切除を施行し, 腫瘍を一塊に切除した. 臨床経過からは, 高悪性度の腫瘍が疑われたが, 組織学的検索により低悪性度の限局性線維性胸膜中皮腫と診断された. びまん性胸膜中皮腫に血性胸水が伴うことはしばしばあるが, 限局性胸膜中皮腫ではまれであり, 局所再発例や, びまん性への移行例も報告されており, 今後は厳重な経過観察が必要である. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:903-907)胸膜中皮腫は, 1931年にKlempererら1)により, びまん性と限局性に分類された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 限局性胸膜中皮腫, 低悪性度, 血性胸水, 胸壁合併切除術
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