Abstract : |
当科で経験した肺尖部胸壁浸潤肺癌17例に対し, 手術術式, 合併切除, 再建部位, アプローチ, 予後を検討した. 腫瘍占拠部位は, 肺尖前方6例, 後方7例, 肺尖全面4例で, 1例を除く全例に術前放射線照射が行われ, 11例に術後照射が追加された. 手術アプローチは後方8例, 前方5例, 前方+後方4例で, 葉切13例, 全摘1例, 部切3例であった. 合併切除は肋骨12例(第1肋骨含む10例), 椎骨4例, 腕頭静脈2例, 鎖骨下動脈1例, 脊髄神経束3例, 交感神経幹2例, 横隔神経1例で, 再建は胸壁を4例にMarlex meshで, 鎖骨下動脈1例, 腕頭静脈1例に人工血管置換を行った. 手術根治度は相治10例, 相非2例, 絶非5例で, 絶非例は肺尖部神経叢の断端陽性4例, 転移リンパ節の大動脈浸潤1例であった. 17例全例の5生率は35.3%で, 中間生存期間20ヵ月であった. 同時期に行われたT3肺癌胸壁合併切除59例と比較して生存率に有意差はなかった. 根治度別では相治群は5生率60%に対し, 非治癒率0%で有意に根治群が良好であった. 相治群では比較的予後は良く, 完全切除の有無が予後を左右し, 特に腕神経叢の存在する肺尖部がlimiting factorになると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:941-945) |