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低温虚血及び常温再灌流によって生じた心筋障害に対するリアノジン添加低温心筋保護液の有効性とその機序に関して, 摘出灌流心モデルを用いて検討した. 方法：Wistar ratの心臓をmodified Krebs-Henseleit bicarbonate buffer液で20分間, working灌流し虚血前心機能（大動脈流量, 冠灌流量, 心拍数）を測定した. 3分間のリアノジン添加St.Thomas液（20℃, K+＝16mEq）の注入による心停止後, 180分間の虚血（20℃）と15分間のLangendorff灌流法による再灌流（37℃）を行った. 次の20分間のworking灌流中に虚血後心機能を測定した. 結果：心筋保護液中のリアノジン濃度が0, 0.18, 0.88, 1.31, 1.75, 10.00, 100.00nmol/Lのとき, 大動脈流量回復率はそれぞれ46.4±3.7, 50.8±5.1, 50.6±4.8, 53.1±5.9, 59.4±1.9, 50.5±3.2, 31.8±6.1％であり, 冠灌流量回復期はそれぞれ59.2±2.3, 66.0±5.1, 77.4±6.3*, 71.5±3.3, 76.4±5.2*, 75.1±4.0*, 68.5±2.7％（*p＜0.05）であった. 再灌流15分間のcreatine kinase漏出量はリアノジン濃度が0, 1.75, 10.00, 100.00nmol/Lのとき, それぞれ89.4±6.8, 60.7±14.4, 66.9±26.3, 27.5±6.4*IU/g乾燥重量（*p＜0.05）であった. 結論：リアノジン添加低温St.Thomas液は低温虚血及び常温再灌後の心筋において心機能回復率の改善傾向と逸脱酵素の減少を示した. これは低温心筋保護液注入中または低温虚血中に筋小胞体Ca3+チャネルに関連する保護効果の機序が存在することを示唆している. （日本胸部外科学会雑誌1995；43：966－972） |
