アブストラクト(43巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 酸素加St.Thomas液持続灌流心保存法-glucose及びinsulin添加に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 嶌田泰之**, 山本文雄*, 山本浩史***, 熊田佳孝*, 鍵崎康治*, 石川巧*, 岡隆宏**, 川島康生*
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センター心臓血管外科, **京都府立医科大学第2外科, ***旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 7
Page : 973-981
Year/Month : 1995 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ラット摘出灌流心モデルを用いた持続灌流心保存においてKrebs-Henseleit bicarbonate buffer液(KHBB液)とSt.Thomas液の保存能を比較し, 更にglucoseとinsulinの添加効果も検討した. <方法>working灌流で保存前心拍出量の測定後, Langendorff灌流で持続灌流保存(灌流圧:30cmH2O)を行った. 保存後15分間のLangendorff灌流(灌流圧:100cmH2O)の後, working灌流で保存後心拍出量を測定した. 更に保存中ないし保存後のCK遊出量を測定し, 心機能回復率, CK遊出量を比較することにより心保存効果を検討した. 実験1:20℃, 12時間保存でKHBB液とSt.Thomas液の保存効果を比較した. 実験2:St.Thomas液による12時間保存で37℃, 20℃, 4℃の保存効果を比較した. 実験3:20℃又は4℃の12時間保存でSt.Thomas液へのglucose添加の効果について検討した. 実験4:20℃, 20時間保存でSt.Thomas液へのglucose添加とglucose+insulin添加の保存効果を比較した. <結果>実験1:KHBB液とSt.Thomas液の保存前後の心拍出量の変化(%CO)は, それぞれ44.9±4.0%と57.7±3.8%*とSt.Thomas液が有意(平均値±標準誤差, n=6/群, *p<0.05 vs KHBB)な高値を示した. 実験2:St.Thomas液による保存後%COは37℃で0%*, 20℃で57.7±3.8%, 4℃で74.4±2.2%*と4℃で最も高値であった(n=6/群, *p<0.05 vs 20℃). 実験3:glucose添加又は非添加St.Thomas液では, %COは20℃では76.5±2.4%*(非添加:57.7±3.8%), 4℃では61.4±2.8%*(非添加:74.4±22%)で, 20℃でのglucose添加が最も高値を示した(n=6/群, *p<0.05 vs glucose非添加). 実験4:glucose添加又はglucose+insulin添加St.Thomas液では, %COはそれぞれ24.6±4.0%と69.2±2.0%*でinsulin添加群が高値を示した(n=6/群, *p<0.05 vs insulin非添加). <結論>20℃で12時間の持続灌流心保存では, St.Thomas液がKHBB液よりも有利であり, glucoseやinsulinの添加は4℃より20℃で有利であることが示唆された. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:973-981)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心保存, 持続灌流法, glucose, insulin, 温度
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