アブストラクト(43巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右胃大網動脈グラフトによる冠状動脈バイパス術におけるflow competition
Subtitle :
Authors : 小柳俊哉, 遠藤真弘, 西田博, 北村昌也, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 7
Page : 997-1003
Year/Month : 1995 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右胃大網動脈(RGEA)とnative冠状動脈との間に生じるflow competitionについてRetrograde吻合(Retro吻合)の影響及びnative冠状動脈の狭窄度からみた血流の競合状態の2つの点から評価することを目的とした. 対象はRGEAを用いた冠状動脈バイパス術157例である. Retro吻合は左前下行枝16例, 左回旋枝4例, 対角枝1例, 右冠動脈本幹1例の計22例(14%)に行った. Retro吻合のグラフト開存率は90.9%でAntegrade吻合(Ante吻合)の94.6%と比較して有意差はなかった. Retro吻合でのグラフト閉塞は左回旋枝と対角枝の2例でいずれもグラフト長が長く, グラフト径の細小な症例であった. また左前下行枝におけるRetro吻合16例とAnte吻合7例をグラフト内径, 術中グラフト流量, 早期グラフト開存率及びやせ現象の有無について比較すると, Retro吻合はAnte吻合と同等な成績を有し, Retro吻合の適合性が示された. 次に右冠状動脈本幹の狭窄病変において, RGEAとnative冠状動脈との間の血流の競合状態を造影所見より4つに分類し, 3段階に分けた狭窄度において検討した. その結果, 狭窄度がゆるくなるにつれてRGEAが優位になる割合が減少し, 逆にnative冠状動脈の優位及び均衡型の占める割合が増加した. 特に75%狭窄群では均衡型が47%と約半数を占め, RGEA優位及びnative冠状動脈優位はそれぞれ21%であった. またRGEA内径が2.5mmと太めであったにもかかわらずnative冠状動脈優位となった症例が2例に認められ, グラフト選択上問題となると思われた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:997-1003)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 右胃大網動脈, 冠状動脈バイパス術, flow competition, Retrograde吻合, やせ現象
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