アブストラクト(43巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺高血圧症を伴う心室中隔欠損症に対する無輸血開心術
Subtitle :
Authors : 高橋幸宏, 龍野勝彦, 菊池利夫
Authors(kana) :
Organization : 榊原記念病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 7
Page : 1004-1011
Year/Month : 1995 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体重5.2kg~9.5kgの肺高血圧を伴う心室中隔欠損症(VSD, PH)17症例に対し, 初期充填量370ml~470mlの人工心肺回路を用いて無輸血開心術を施行した. 全例で無輸血手術が可能であった. 術後呼吸動態は良好で術後挿管時間は6±3時間であった. 6.6kg以上12症例の体外循環中ヘマトクリット(Hct)はほぼ一定の値で経過した. それに対し, 6.1kg以下の5症例では開始後17±2%であったものが復温中に14±2%まで有意に低下した. 最低Hctは6.0kgの症例で復温中12%であった. 各症例の循環血液量を麻酔導入時Hctと体外循環開始後Hct及び初期充填液量から逆算すると, 体重との間には, 循環血液量=体重×72-13(r=0.85, p<0.01)の相関関係があった. この式から, 3.4kg~5.9kg VSD, PH43症例の循環血液量を計算し, これらに充填量370mlの回路で体外循環を行った場合の予測Hctを求めた. 5kg以上の13症例は17±2%で, そのうちの12症例(92%)は15%以上であったのに対し, 4kg以下30症例は13±2%で, 15%以上は3症例(10%)のみであった. 4.0kg~4.9kg症例の開始後Hctが15%となる為には34~36%の麻酔導入時Hctが必要であった. 以上より, 体重5kg以上VSD, PHのほとんどは無輸血開心術が安全に可能であり, 体外循環開始後Hctは15%以上となる. しかし, 4kg以下では開始後Hctが15%未満となり復温中には更に低下すると予測される. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1004-1011)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 無輸血開心術, 心室中隔欠損症, 肺高血圧症
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