アブストラクト(43巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 喀痰培養結果よりみた食道癌術後早期の抗生剤の選択法に関する検討
Subtitle :
Authors : 南谷佳弘, 阿保七三郎, 北村道彦, 橋本正治, 泉啓一, 四釜俊夫, 天満和男, 鎌田収一, 斉藤礼次郎, 本山悟
Authors(kana) :
Organization : 秋田大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 8
Page : 1138-1144
Year/Month : 1995 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌術後の喀痰培養を経時的に分析し, それに影響を与えると思われる因子について解析すると共に術後の抗生剤の適切な選択について検討した. 対象:1989年4月から1993年12月までに当科で経験した食道癌104例を対象として術後の喀痰培養を検討した. 喀痰培養の結果は全体, グラム陰性桿菌, グラム陽性球菌, 緑膿菌, MRSAの陽性率に分けて検討した. 抗生剤は60例(57.7%)で術直後から第5病日ないし第7病日までセフェム系抗生剤とアミノグリコシド系抗生剤が併用されていた. そして以後イミペナム, クリンダマイシンの併用に変更されていた. 検討期間を0~3病日, 4~7病日, 8~11病日に分けた. また糖尿病, 術前治療, 術後抗生剤の種類(セフェム系第1世代vs第2世代), 手術の種類(頸部食道癌vs胸腹部食道癌), 術中気管切開の有無, 反回神経麻痺の有無が喀痰培養の結果に影響を与えるか否かについて検討した. 結果:全経過を通じ56.7~65.4%の症例で喀痰培養が陽性であった. またグラム陰性桿菌陽性率が最も高かった. 術後病日が進むにつれMRSA陽性率が増加していた. 術前治療, 糖尿病, 反回神経麻痺は培養結果に影響を与えなかった. 第1世代は第2世代と比べ8~11病日で, グラム陰性桿菌陽性率(p<0.05)とグラム陽性球菌陽性率(p<0.05)が共に低下していた. 頸部食道癌は胸腹部食道癌と比べグラム陰性桿菌陽性率が低かった(p<0.05). 術中気切例は術中非気切例と比べて, 培養陽性率が0~3病日で, またグラム陰性桿菌陽性率が全経過を通じて低かった(p<0.05). 一方グラム陽性球菌陽性率, 特にMRSA陽性率は術中非気切例と比べて術中気切例で高かった(p<0.05). 観察期間内に17.0%の症例に術後気管切開が施行されていたが, 続発性肺合併症を除くと重篤な肺炎を認めず良好な経過をとっていた. 結論:食道癌術後の抗生剤はアミノグリコシド+セフェム系第1世代を第1選択としてよいと考えられる. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1138-1144)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌術後, 喀痰培養, 術後管理, 抗生剤, 肺合併症
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