アブストラクト(43巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 塞栓症を合併した心臓粘液腫症例の検討
Subtitle :
Authors : 島村吉衛, 徳永裕之, 八田光弘, 西田博, 田中佐登司, 遠藤真弘, 橋本明政, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 8
Page : 1145-1150
Year/Month : 1995 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 塞栓症を合併した心臓粘液腫の診断及び外科的治療について検討した. 1974年から1992年までの19年間に当施設にて腫瘍摘出術を施行した心臓粘液腫症例は51例であった. このうち塞栓症を併発したものは10例(左房起源6例, 右房起源4例)であり, その内訳は脳塞栓5例, 冠状動脈塞栓1例, 網膜動脈塞栓1例, 肺塞栓4例であった. 粘液腫を塞栓症を併発した群と塞栓症を併発しない群の2群に分類し, 塞栓症発症の危険因子の検討を行ったところ, 不整脈, 腫瘍長径, 腫瘍付着部位径茎, 腫瘍形態, 腫瘍の脆弱性がその因子として考えられた. 腫瘍の肉眼的形態分類ではrough typeとgelatinous typeに塞栓症の発生が多く, 経食道心エコー法でこれら腫瘍の形状は判別が可能と考えられた. また冠状動脈造影上, 腫瘍栄養血管の豊富なものは塞栓症を生じていなかった. 術前塞栓症を生じた9例は初発症状より粘液腫診断までに長期間を要するものが多く, 別の部位に新たな塞栓症を生じたり, 同一部位の塞栓症状の増悪を来すものも存在した. 原因不明の塞栓症では心血管系に対する迅速な原因検索が必要と考えられ, 粘液腫の診断が得られた後には塞栓症状の重篤度も考慮した上で期待を逸さず外科的治療に踏み切るべきであると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1145-1150)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓粘液腫, 塞栓症, 腫瘍摘出術
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