アブストラクト(43巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 抗リン脂質抗体症候群合併全身性エリテマトーデスにおける僧帽弁膜症の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 野地智, 北村信夫, 三木太一, 木村俊一, 春藤啓介, 山口明満
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 8
Page : 1176-1181
Year/Month : 1995 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は39歳, 女性. 既往歴として脳血栓症と自然流産を認めた. 抗リン脂質抗体症候群(APS)を合併した全身性エリテマトーデス(SLE)患者であり, 慢性腎不全及び僧帽弁閉鎖不全症に起因する心不全を併発したため手術を施行した. 腎不全に対し, 術前から持続携帯式腹膜透析(CAPD)を導入した. 僧帽弁は前尖及び後尖の著明な肥厚と後尖の腱索断裂を認めたため, 弁形成術は困難と考え生体弁置換術を選択した. 血小板輸血を必要としたが術中術後の止血に特に問題を生じなかった. また術後抗凝固療法としてワーファリンと抗血小板剤を併用しており4年後の現在も血栓症等の合併症を認めていない. 近年APS合併SLE症例と心臓弁膜病変の関連が注目されており, 本例は腎不全を含む周術期管理, 置換人工弁の選択, 術後抗凝固療法に工夫を要する興味深い症例と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1176-1181)全身性エリテマトーデス(SLE)は, 多彩な自己抗体の産生, 免疫複合体の形成と沈着, 補体の活性化等により組織障害が生じ, 結果として多臓器障害を来す自己免疫疾患である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 抗リン脂質抗体症候群, APS, SLE, 慢性腎不全, 僧帽弁置換術
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