アブストラクト(43巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌と鑑別困難であった肺梗塞の1切除例
Subtitle : 症例
Authors : 原口秀司*, 田中茂夫*, 小泉潔*, 塩田晶彦*, 保坂浩希*, 川本雅司**
Authors(kana) :
Organization : *日本医科大学第2外科, **日本医科大学第1病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 8
Page : 1208-1212
Year/Month : 1995 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は64歳, 女性. 発熱, 胸痛, 血痰を主訴とし近医を受診, 右肺下葉に浸潤影を指摘され, 入院精査施行された. 喀痰細胞診にて腺癌と診断され, 手術目的にて当科に入院した. 術中腫瘤不明瞭なため迅速診断を施行, 器質化肺炎を疑うが悪性腫瘍を否定できないとされ, 右下葉切除術と縦隔リンパ節郭清術を施行した. 肺動脈切離時, 末梢側に血栓を認め肺梗塞を初めて疑った. 術後ウロキナーゼとヘパリンにより血栓溶解療法を開始したが, 第6病日肺血栓塞栓症の再発により死亡した. 病理組織学的には, 梗塞部の気管支上皮過形成部の基底細胞群が術前喀痰細胞診の異型細胞の由来と考えられた. また, 梗塞巣辺縁部にはII型肺胞上皮の過形成も認められ, 術中迅速診断を困難にしたと考えられた. 本邦においても肺血栓塞栓症の増加が報告されており, 細胞診偽陽性を示す肺梗塞例の増加が懸念されるので, 慎重に診断, 治療することが重要であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺血栓塞栓症, 肺梗塞, 細胞診偽陽性, 気管支上皮過形成, 基底細胞
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