アブストラクト(43巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Perfluorotributylamine/Pluronic F-68 stem-emulsion(FC43se)のdiscordant異種心移植(Guinea pig to Rat)における有効性-病理形態学的観察を中心に-
Subtitle :
Authors : 和田誠之*, 梶原博毅**, 村上博宣*, 向井省吾*, 栗栖佳宏*, 末田泰二郎*, 松浦雄一郎*
Authors(kana) :
Organization : *広島大学医学部第1外科, **広島大学医学部保健学科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 9
Page : 1587-1594
Year/Month : 1995 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : discordant異種動物間移植(dXT)において最初の障壁となる超急性拒絶反応(HAR)の機序はいまだに解明されておらず, 有効な免疫抑制の方法も見つかっていない. われわれは, フッソ化合物乳剤の1種であるPerfluorotributylamine/Pluronic F-68 stem emulsion(FC43se)をrodent dXT modelに投与し, この物質にHARの抑制効果があることを見いだした. FC43se(10μl/g)を投与されたラット頸部にモルモット心を異所性移植すると, 無処置群で15分程度(15.5±6.6分;n=8)であった移植心拍動は18時間以上(1,110±111.1分;n=8)も良好に維持された. 病理形態学的検討を行い, 無処置群HAR像では短時間のうちに冠状動静脈内に急性多発性血栓を生じ, 阻血により移植心の拍動が停止することが観察されたが, FC43se投与群では拍動12時間後の像でも冠動静脈内に血栓性変化を認めない部分が多く残存していた. 一方, 心筋細胞の散在的な壊死がみられ, 間質には炎症細胞浸潤像が認められた. FC43se投与により短時間での血管内で生じる血栓形成性反応(intravascular HAR)を免れて心拍動停止には至らないものの, 血管外では緩徐に修飾された拒絶反応(extravascular HAR)が進行しているものと推察された. われわれは, FC43seがHARの抑制効果を持つことを示すと共に, FC43seを投与する本実験モデルは, HARの機序解明に有効な手段となると考える. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1587-1594)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 異種移植, 超急性拒絶反応, フッソ化合物乳剤, 免疫抑制, 病理
このページの一番上へ