Abstract : |
われわれは, 常温体外循環下に人工心肺回路中の酸素化された血液に, 高濃度のカリウムを混ぜたwarm blood cardioplegiaを間歇的に順行性に注入する, warm heart surgery法(Calafiore法)でCABGを施行し, その有用性を検討した. 対象は動脈グラフトのみを用いた待機的CABG20例で, 前半の10例をcold群として軽度低体温下にcold crystalloid cardioplegiaを使用し, 後半の10例をwarm群として両群間の比較検討を行った. warm群で, 大動脈遮断解除後の心拍動の立ち上がりが良く, 術後のCKも低い傾向を示し, 心筋保護効果は優れていると考えられた. また術後の出血量, 人工呼吸時間, BEの変動などwarm群でより良好で, 常温体外循環は術中, 術後の全身状態に有用であった. またwarm群では, PMIは1例も生じておらず, IABP挿入例もなかったことから, warmよりvasospasm誘発の可能性が少ないためと考えられた. 以上より動脈グラフトを用いたCABGには, warm heart surgeryは最適の補助手段であると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1595-1599) |