Abstract : |
1980年1月から1994年10月までに経験した大動脈弓離断症(IAA)及び大動脈縮窄症(CoA)の術後遠隔期再狭窄に対する再手術4例について検討を加えた. 症例1:4歳時にIAA(type A)+VSD+PDAに対して, 大動脈弓再建に10mmのグラフトを用いて一般的に根治術を行った. 21歳時に, 上行-下行大動脈間に58mmHgの圧較差を認めたため再手術を行った. 症例2:3歳時にCoA+VSD+PDAに対して, 11mmのグラフトで上行-下行大動脈にバイパスを作成して一期的に根治術を行った. 16歳時に, 上行-下行大動脈間に64mmHgの圧較差を認め再手術を行った. 症例3:5歳時にCoAに対してパッチ形成術を行ったが, 退院時に上下肢に20mmHgの圧較差を認めた. 12歳時に経皮的バルーン大動脈形成術(PTA)を行い, 15歳時に再手術を行った. 症例4:CoA+VSD+PDAで, 生後1ヵ月でCoAに対してsubclavian flap法を行った. 術後10ヵ月頃より上下肢の圧較差が40~50mmHgとなり, 1歳時に再手術を行った. 手術法は, 症例1, 2, 3に対しては単純遮断下に左鎖骨下動脈と下行大動脈間のグラフトバイパス術を行い, 症例4に対しては, 左総頸動脈と下行大動脈間の一時バイパス下にパッチ形成術を行った. いずれも術後圧較差は改善した. 今回3例に用いた左鎖骨下動脈-下行大動脈バイパス術は, 少ない剥離で施行でき, 且つ十分な減圧が可能で有用であった. 再手術に際しては, 症例によって適切な手術法, 補助手段法を選択することは重要であると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1657-1663) |