アブストラクト(43巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : CABG前後におけるMIBG心筋シンチグラフィの有用性の検討
Subtitle :
Authors : 林一郎***, 幕内晴朗*, 成瀬好洋*, 小林俊也*, 山本平*, 針谷明房*, 丸野広大**, 村田啓**
Authors(kana) :
Organization : *虎の門病院循環器センター外科, **虎の門病院循環器センター放射線科, ***順天堂大学付属順天堂医院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 9
Page : 1670-1674
Year/Month : 1995 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 123Iメタヨードベンジルグアニジンはノルエピネフリンのアナログとして交感神経末端の機能を反映し, MIBGシンチグラフィ(以下MIBG)により運動負荷をかけずに心筋虚血障害を鋭敏に検出できるといわれている. そこでCABG前後にMIBGとTl心筋シンチグラフィ(以下Tl)を行い, MIBGの意義を検討した. 術前のMIBGと負荷Tlの比較では取り込みが低下した領域はほぼ一致をし, MIBGと安静時のTlの比較ではMIBGはTlより広い領域で取り込みの低下を認めた. 術前後のシンチグラムの比較では, 術後Tlで取り込みが改善してもMIBGでは不変であった領域が多く, 血行再建直後には交感神経末端の機能は必ずしも改善をしていないことが示唆された. また術後血行再建に成功したにもかかわらず新たにMIBGの取り込みが低下した症例も認められ, 何らかの手術操作により心筋の交感神経受容体が障害されたものと考えられた. 更に術後4ヵ月目に再度MIBGを行った症例のなかには, 術直後に比べシンチグラムの取り込みが改善した症例もあることは, 血行再建後交感神経末端の機能改善には時間がかかる可能性を示唆しており, 今後長期のフォローが必要であると考えられた. 以上よりTl心筋シンチグラムに比べ, MIBG心筋シンチグラムは心筋虚血障害を同等かあるいはより鋭敏に検出することができると思われた. また血行再建に成功したにもかかわらず, 術後のMIBGで改善を認めたのは11%の領域のみであり, 術直後の虚血のスクリーニングとしては不適であると思われた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1670-1674)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : CABG, MIBG心筋シンチグラム, Tl心筋シンチグラム, 交感神経受容体
このページの一番上へ