アブストラクト(43巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠血行再建術における下腹壁動脈を用いたY-graftingの経験
Subtitle :
Authors : 川上恭司, 内田直里
Authors(kana) :
Organization : 厚生連広島総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 10
Page : 1701-1705
Year/Month : 1995 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 冠血行再建術において動脈グラフトの有用性が認識され, われわれは原則としてすべてのバイパスを動脈グラフトで施行する方針としてきた. しかしこの方法は, (1)大動脈前面をグラフトが交差する, (2)最も大切な左前下行枝(LAD)に左内胸動脈(LITA)を使えないことが多い, などの問題点が明らかとなった. そこで, これらを解決するため, 下腹壁動脈(IEA)をLITAに端側吻合するIEA Y-grafting法を試みたので, その手術法と成績を報告する. 1994年1月から12月までの1年間にIEAを使用した24例を対象とした. 使用グラフトはIEA24本26吻合, LITA24本29吻合, RITA2本, RGEA16本17吻合, 合計66本の動脈グラフトを使用し, 74ヵ所に吻合を行った. IEAの吻合部位は左回旋枝(LCX)に22吻合, 右冠状動脈(RCA)に3吻合, 対角枝(Dx)に1吻合であった. 確認造影の行い得た17症例, 55吻合のうちLITA:1ヵ所, IEA:2ヵ所の閉塞を認めたが他はすべて開存しており, 開存率94.5%であった. IEAだけに限っていえば19吻合のうち17ヵ所の開存, 開存率89.5%であった. 手術死亡を2例に認め, 共にspasmが疑われた. 本法は, 術後急性期の血流不足という欠点はあるものの, 第3の動脈グラフトとしての可能性が示唆された. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1701-1705)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 動脈グラフト, 冠血行再建術, 血胸動脈, 右胃大網動脈, 下腹壁動脈
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