アブストラクト(43巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左室機能低下を来した大動脈弁狭窄症の外科治療成績と術後左室機能-左室機能維持症例との比較検討-
Subtitle :
Authors : 上部一彦, 北村昌也, 野地智, 青見茂之, 八田光弘, 遠藤真弘, 橋本明政, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 10
Page : 1710-1715
Year/Month : 1995 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年1月から1992年12月の間に単独AVRを施行した成人AS93例のうち術前左室造影を行った82例を, LVEF≧50%の59例をN群(LVEF平均62.2%), LVEF<50%の23例をD群(同39.7%)の2群に分類した. それぞれの群での早期及び遠隔期死亡とその原因, 遠隔期実測生存率を求め, 術前後における心エコーから計測した左室機能の変化を比較検討した. 早期死亡(術後30日以内)はN群2例(3.3%;心筋梗塞1, 低心拍出量症候群1), D群2例(8.7%;心筋梗塞1, 脳障害1)であった. 遠隔期死亡はN群4例(6.5%;心不全2, 悪性腫瘍1, 肝不全1), D群1例(4%;悪性腫瘍)であった. 5年及び12年の実測生存率(%)はそれぞれN群91.5, 87.6, D群87.8, 87.8と両群とも良好で有意差は認められなかった. 術前のFSはN群0.38±0.10, D群0.25±0.08と有意にD群で低下していた. 術後はそれぞれ0.32±0.10, 0.24±0.10でD群が有意に低下したままであった. LVIDs(mm)は術前N群28.7±7.3, D群39.0±7.9, 術後N群29.3±7.6, D群35.0±9.6といずれもD群で有意に高値であった. LVMI(g/m2)は術前N群255.5±91.4, D群336.7±125.9でD群で有意に高値であったが, 術後はそれぞれ208.9±79.5, 233.7±86.0と両群間に有意差はなかった. AVR前後では両群とも有意にLVMIの減少が認められた. ESWS(×103dynes/cm2)は術前N群80.5±31.4, D群105.5±45.9, 術後N群64.8±32.6, D群80.0±37.7と術前有意にD群で高値であったが術後は両群間に有意差はみられなかった. 結論として左室機能低下群, 非低下群とも早期及び遠隔期成績は良好であった. LVEF50%未満の左室機能低下例では, 術後もFSは正常域未満にとどまり, 後負荷の減少により術後のLVMIが低下したものの術後1月の時点では異常高値のままであった. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1710-1715)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁狭窄症, 左室機能低下, 左室心筋重量係数, 左室収縮末期壁応力
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