アブストラクト(43巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腹部臓器偽腔灌流を伴うDeBakey IIIb型慢性解離性大動脈瘤手術症例の検討
Subtitle :
Authors : 不破誠行, 広瀬一, 村川真司, 熊田佳孝, 古沢泰伸, 高木寿人, 久保清景, 柴田雅也, 佐々木栄作, 松本興治
Authors(kana) :
Organization : 岐阜大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 10
Page : 1730-1735
Year/Month : 1995 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近7年間に腎動脈偽腔灌流を伴うDeBakey IIIb型慢性解離性胸部大動脈瘤(以下DBIIIb)手術症例6例を経験し, うち3例に胸部・腹部大動脈置換術(以下胸部・腹部置換群), 残る3例に末梢側両腔吻合術式を用いた胸部下行大動脈人工血管置換術(以下胸部置換・両腔吻合群)を施行した. 術後平均観察期間は32ヵ月であった. 胸部・腹部置換術群のうち腎炎の既往があり, 術中左腎自家移植を行った症例が術後2年10ヵ月後に腎機能低下により血液透析に導入となったが, 他の5例では術後腎機能低下を認めなかった. 胸部置換・両腔吻合群では術前大動脈径の平均は腹腔動脈レベルで3.8±0.1cm, 左腎静脈レベルで2.7±0.4cmであったのに対し, 術後平均32ヵ月では腹腔動脈レベルで3.8±0.3cm, 左腎静脈レベルで2.5±0.3cmであった. つまり, 腹部大動脈に遺残偽腔が残る胸部置換・両腔吻合群において, 術後平均32ヵ月の経過観察期間では腹部大動脈径の拡大は不変又は軽度であり, 術後急速あるいは著明な拡大により腹部手術を要した症例は認めなかった. 腹部大動脈径が拡大し破裂の危険性が高い場合や腹部分枝の閉塞の危険性がある場合には積極的に胸部・腹部大動脈置換術を選択すべきである. しかしながら, 腹部大動脈径の拡大が軽度な場合や高齢などの理由により上記手術が過侵襲となる恐れがある場合には, 術後腎阻血を回避するための末梢側両腔吻合法を用いた胸部下行置換術は有用な選択術式であると考えられる. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1730-1735)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : DeBakey IIIb型慢性解離性大動脈瘤, 遺残偽腔, 腎動脈, 偽腔灌流, 両腔吻合
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