アブストラクト(43巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌に対する系統的頸部郭清及び, 頸部胸骨正中経路による系統的頸部縦隔連続郭清の意義
Subtitle :
Authors : 宮元秀昭, 羽田圓城, 坂尾幸則, 原田龍一, 濱田哲郎
Authors(kana) :
Organization : 三井記念病院呼吸器センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 11
Page : 1804-1809
Year/Month : 1995 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : われわれは両側とも上縦隔上部リンパ節は通常の後側方からの経路からは完全に郭清することは困難であり, 同部に転移が疑われた場合には, 静脈角及び頸部を含めた系統的郭清が行われることが望ましいと考え, 系統的頸部郭清を開始し, 更に胸骨正中切開に頸部切開を加えた経路でN3r領域以上の連続郭清を試みている. 肺癌に対する系統的頸部郭清及び頸縦連続郭清の適応と意義について, 再発例を含めこれまでに頸部郭清を加えた症例の成績をもとに検討した. 適応は70歳未満, c-M0, 術前重篤なリスクを有しない非小細胞肺癌症例である. 頸部郭清の適応としては, (1)術後異時性に頸部・鎖骨上リンパ節のみに再発した症例. (2)術中あるいは術後病理所見で上縦隔上部リンパ節に転移があった症例. (3)肺尖部胸壁浸潤肺癌. また頸縦連続郭清の適応としては, (1)既に術前より頸部・鎖骨上リンパ節転移を有する症例(c-N3γ). (2)胸骨正中経路で郭清中上縦隔上部リンパ節に転移を認めた症例. (3)正中からアプローチ可能な肺尖部胸壁浸潤肺癌(c-T3)としている. 1994年10月までに当院で切除された肺癌症例のうち拡大郭清例は, 170例で, そのうち頸部郭清例は33例. 頸縦連続郭清例は頸部郭清例33例のうち22例である. 右肺癌14例, 左肺癌8例. 手術関連死亡はもちろんのこと重篤な術後合併症もなかった. 予後を検討すると, 系統的頸部郭清は, 再発例やc-N3γ症例に適応はないが, c-N2症例のうち上縦隔上部リンパ節に転移が疑われる症例では適応がある. p-N3γ症例の予後は不良であり, あらゆる治療に反応しないが, 再発形式を検討すると, 血行性遠隔転移と共に局所再発が多いことより, 術式及び適応を含め, 更に治療法を検討する必要がある. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1804-1809)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌根治手術, N3γ, 拡大リンパ節郭清, 頸部郭清, 頸部縦隔連続郭清
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