アブストラクト(43巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : T1肺腺癌におけるTGF-βと腫瘍中心部線維化巣の発現に関する免疫組織化学的検討
Subtitle : 原著
Authors : 朝倉庄志, 加藤弘文, 藤野昇三, 小西孝明, 浅田佳邦, 手塚則明, 森渥視
Authors(kana) :
Organization : 滋賀医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 12
Page : 1924-1928
Year/Month : 1995 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Transforming growth factor-β(TGF-β)は細胞外基質の増生と沈着を促進する増殖因子として知られてきたが, 最近, 癌細胞の増殖や転移を調節する作用も有していることがわかってきた. 他方, 肺腺癌においては高い頻度で中心部線維化巣が出現し, 線維化巣の瘢痕化の進んだ症例ほど予後が不良であるとされている. われわれは, TGF-βが肺腺癌の腫瘍中心部線維化巣の形成において果たす役割について, あるいは, その予後に及ぼす影響について検討するために, T1肺腺癌例51例に対してTGF-βの発現に関する免疫組織化学染色を行った. 腫瘍組織内でTGF-β陽性を示した症例が31例, 陰性例が20例であった. I期T1腺癌例31例でTGF-β陽性例と陰性例の術後生存曲線を比較すると, 陽性例に予後不良の傾向がみられた. 腫瘍中心部線維化巣を有する症例は24例で, 有しない症例は27例であった. 中心部線維化巣を有する24例のうち20例がTGF-β陽性例であった. 肺腺癌における中心部線維化巣の発現とTGF-β陽性の間に統計学的に相関が認められた. これらの結果より, 肺腺癌の腫瘍中心部線維化巣の形成においてTGF-βが働いていること, また, TGF-βの発現が肺腺癌の予後不良因子となりうる可能性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : TGF-β, 肺腺癌, 腫瘍中心部線維化巣
このページの一番上へ