アブストラクト(43巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 潰瘍瘢痕のため胃管再建が困難であった食道癌の1例
Subtitle : 症例
Authors : 藤原耕三, 東野正幸, 大杉治司, 徳原太豪, 綛野進, 木下博明
Authors(kana) :
Organization : 大阪市立大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 12
Page : 1948-1952
Year/Month : 1995 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 食道癌手術例の増加に伴い, 再建に用いられる臓器に副病変を有する症例が散見される. 今回, 胃の潰瘍瘢痕により再建胃に血行障害を来した症例を経験した. 症例は72歳, 女性. 消化管造影で胸部中部食道前壁に3型病変を認め, 胃には小彎の伸展不良と大彎の彎入がみられた. 内視鏡検査では門歯より30~34cmに前壁を中心に2/3周に及ぶ病変を認め, 胃体上部小彎側にも線状の潰瘍瘢痕を認めた. また術中所見では左右胃大網動静脈は不連続であった. 食道切除後胃管を作製したが, 潰瘍瘢痕より口側に色調変化がみられた. このため有茎空腸にて胸壁前径路で再建した. 教室では粘膜下層の豊富な血管網を重視し, 食道再建臓器として亜全胃を用いているが, 胃による再建を予定する場合, 粘膜下層の血管網が広く途絶するような病変の有無を術前に十分検索する必要があると考えられた. 胸部食道切除後の再建臓器として胃, 空腸, 結腸が考えられるが, 胃を用いる術式が一般的である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 胃管再建, 潰瘍瘢痕, 胃管血流
このページの一番上へ