Abstract : |
症例は64歳, 男性. 自宅でだんらん中, 突然急性心筋梗塞による心原性ショックに陥った. 家人に心臓マッサージされつつ救急病院に担送され, 蘇生された. 3ヵ月後, 冠動脈バイパス術(CABG)を施行した際, 左内胸動脈(LITA)はfree flowが極めて少なく, 塩酸パパベリンの腔内注入, 及びballoon dilationにても改善されなかったためグラフトとしての使用を断念した. LITAの病理組織検査で, 中間部に限局して中膜に肉芽腫様肥厚を認め, 内腔が著しく狭窄していた. 心マッサージによりLITA中間部に損傷が加わり, 修復機転が働いたものと考えられる. 従来, 内胸動脈は病変の発生する頻度が少なくほぼ100%がグラフトとして利用できるとされているが, 胸郭が強く変形された既往のあるCABG予定症例では, 術前内胸動脈造影が必要である. 内胸動脈は冠状動脈バイパス術(以下CABG)における第一選択のconduitとして, 既に確固たる評価を得ているが, その理由の1つに内胸動脈は病変の発生する頻度が少なくほぼ全例がconduitとして利用できることもあげられる. |