アブストラクト(43巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓マッサージによる損傷で器質的狭窄を来したと思われる左内胸動脈
Subtitle : 症例
Authors : 吉田秀明**, 松浦弘司, 太田里美, 安西貞祐*, 瀧上剛*, 安田慶秀**
Authors(kana) :
Organization : 国立函館病院心臓血管外科, *北海道大学医学部循環器外科, **函館中央病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 12
Page : 1958-1962
Year/Month : 1995 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は64歳, 男性. 自宅でだんらん中, 突然急性心筋梗塞による心原性ショックに陥った. 家人に心臓マッサージされつつ救急病院に担送され, 蘇生された. 3ヵ月後, 冠動脈バイパス術(CABG)を施行した際, 左内胸動脈(LITA)はfree flowが極めて少なく, 塩酸パパベリンの腔内注入, 及びballoon dilationにても改善されなかったためグラフトとしての使用を断念した. LITAの病理組織検査で, 中間部に限局して中膜に肉芽腫様肥厚を認め, 内腔が著しく狭窄していた. 心マッサージによりLITA中間部に損傷が加わり, 修復機転が働いたものと考えられる. 従来, 内胸動脈は病変の発生する頻度が少なくほぼ100%がグラフトとして利用できるとされているが, 胸郭が強く変形された既往のあるCABG予定症例では, 術前内胸動脈造影が必要である. 内胸動脈は冠状動脈バイパス術(以下CABG)における第一選択のconduitとして, 既に確固たる評価を得ているが, その理由の1つに内胸動脈は病変の発生する頻度が少なくほぼ全例がconduitとして利用できることもあげられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 内胸動脈, 狭窄, 術前造影, 損傷, 病理組織
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