Abstract : |
症例は30歳, 男性. 検診時胸部異常陰影を指摘され, 胸腺腫の診断で当院に入院し, 手術を施行した. 前縦隔腫瘍は非ホジキンリンパ腫で前縦隔リンパ節はホジキン病であった. 縦隔内ホジキン病・非ホジキンリンパ腫同時性discordant lymphomaはまれな疾患であり, 化学療法のレジメン選択も難しく, 予後不良な疾患と思われる. またホジキン病と非ホジキンリンパ腫の関係を考察する上で貴重な症例である. (日本胸部外科学会雑誌1996;44:106-110) 悪性リンパ腫は主にHodgikin病と非Hodgikinリンパ腫に大別されるが, ときに異なる部位から, 異なった悪性リンパ腫の組織像を示すdiscordant lymphomaが認められることがある1). 今回われわれは縦隔腫瘍に非ホジキンリンパ腫を, 前縦隔リンパ節よりホジキン病を認めたまれな1例を経験したので, 若干の考察を加え報告する. 症例 症例:30歳, 男性. 主訴:胸部異常陰影. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:1988年9月検診の際胸部単純X線写真にて縦隔陰影の拡大を指摘されて他院を受診, 胸腺腫が疑われ, 1988年11月当科入院となった. |