アブストラクト(44巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈炎症候群における術後遠隔予後の予測因子―血清免疫学的因子との関連―
Subtitle :
Authors : 野地智, 北村信夫, 山口明満, 三木太一, 春藤啓介, 木村俊一, 康徳光, 入江寛, 熊野浩
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 2
Page : 149-154
Year/Month : 1996 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈炎症候群の心臓大血管病変に対する外科治療において, 術前の血清免疫学的因子から術後の遠隔期予後が予測できるか否かを検討した. 1980年から1994年までの間に当科で外科治療を施行した本症候群12例を対象とした. 活動期手術症例は3例(25%), 非活動期手術症例は9例であり, そのうち術前ステロイド投与例は活動期の1例であった. 全体の初回手術死亡及び早期死亡は認められなかったが, 遠隔期死亡を6例(50%)に認めた. これら6例はすべて術後に炎症が再燃したためステロイドを全例に投与したが炎症を鎮静化できなかった. 遠隔期死亡群と生存群の2群間で術前の炎症反応及び血清免疫学的因子を比較検討した結果, 赤沈値では死亡群59.8±12.0mm/1hrに対し, 生存群9.3±2.9mm/1hrと死亡群で有意に亢進していた(p=0.0204). IgGでは死亡群1,988.2±176.9mg/dlに対し, 生存群956.7±156.7mg/dlと死亡群で有意に高値を示した(p=0.0087). IgAにおいても死亡群500.5±51.5mg/dlに対し, 生存群171.0±41.0mg/dlと死亡群で有意に高値を示した(p=0.0053). 更に初回手術時非活動期で術後炎症が再燃した群(B群)と再燃しなかった群(C群)との比較検討では, IgAがB群での527.5±117.5mg/dlに対し, C群では171.0±41.0mg/dlであり, B群のそれが有意に高値を示した(p=0.029). またC3においてもB群では83.0±8.0mg/dlに対し, C群では58.3±1.7mg/dlであり, B群のそれが有意に高値を示した(p=0.029). 以上より, 炎症の再燃にはこれら因子の炎症惹起性及び潜在的な持続性炎症の存在が考えられ, 遠隔予後の予測因子並びに炎症の指標として有用と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈炎症候群, 外科治療, 遠隔期予後, 持続性炎症, 血清免疫学的検討
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