| Abstract ： |
胸腺癌19例の臨床的検討を行った. 手術時年齢は, 37～84歳（平均60.0歳）, 男女比7：12であった. 胸背部痛・顔面浮腫・咳嗽などの自覚症状を有する症例が13例（68.4％）にみられた. 合併症は, 2例（10.5％）に認めたのみであった. 組織分類は, 扁平上皮癌11例, 未分化癌3例, 小細胞癌2例, 乳頭腺癌・Lymphoepithelioma‐like ca.が各1例で, 扁平上皮癌が57.9％と多数を占めた. 全例の5生率42.7％, 10生率21.4％, 平均生存期間56.1カ月であった. 臨床病期は, I期1例, III期9例, IVa期4例, IVb期5例で, 18例（94.7％）がIII・IV期の進行例であった. またIVb期5例のTNM分類は, T2N1M0, T3N1M0, T3N0M1, T3N3M1, T4N0M1が各1例であった. 扁平上皮癌11例の5生率は65.6％, それ以外は14.3％と扁平上皮癌症例において良好であった. 完全切除例は8例（42.1％）に過ぎず, 5生率は70.0％であり, 不完全切除5例の5生率は53.3％であったが, 不完全切除例にも, 長期生存がみられた. 全経過を通じて12例（63.2％）に転移を認めた. 転移臓器としては, 胸膜播種・リンパ節・肺・骨・肝に多かった. 放射線療法は, 扁平上皮癌症例において5生率83.3％と良好であり, 不完全切除でも照射併用により長期生存が得られた症例もみられ, 扁平上皮癌に対する照射は, 有効であると考えられた. 一方, 化学療法の有効性は認められなかった. |
