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逆行性間欠投与法でのcold blood cardioplegiaとcrystalloid cardioplegiaの優劣を臨床的に心筋代謝面から比較検討したので報告する. 対象は成人開心術症例のうち大動脈遮断時間が60分以上の22例で, cold blood cardioplegia投与群（B群）10例とcold crystalloid cardioplegia投与群（C群）12例の2群に分けた. 大動脈遮断解除後5分, 15分, 体外循環離脱後5分の3回, 動脈血と冠静脈洞（CS）血を採取し, 乳酸, ピルビン酸, CK-MB値と, 体外循環離脱後の心機能を測定し, 各々を両群で比較検討した. 大動脈遮断時間（B群116±36分, C群109±40分）, 離脱後の心係数（B群3.0±0.5, C群4.0±1.5l／min・m2）, 肺動脈楔入圧（B群8.7±1.6, C群9.2±2.5mmHg）, 洞調律再開率（B群10％, C群50％）, LOSの発生率（B群20％, C群17％）, 手術死亡率（B群0％, C群0％）, 冠静脈洞血中CK-MB値（大動脈遮断解除後5分, 15分, 体外循環離脱後5分で, B群50.9±12.4, 61.6±17.9, 86.9±24.7, C群48.0±23.7, 57.5±26.9, 80.3±35.9IU／l）等は両群間で有意差はなかった. CS血中乳酸値は大動脈遮断解除後5分, 15分, 体外循環離脱後5分の各時点で, B群が有意（p＜0.01）に低く（B群34.4±11.1, 40.3±10.6, 37.4±13.1, C群68.6±24.8, 64.1±21.4, 66.7±21.7mg／dl）, 体外循環離脱後5分の乳酸摂取率はB群-0.6±7.1, C群-8.4±10.7％と, B群が有意に高かった. これより離脱後心機能や心筋逸脱酵素などはB群とC群には明らかな優劣の差はなかったが, 大動脈遮断中や遮断解除後早期の心筋代謝では, blood cardioplegiaの方が心筋代謝をより好気的にしているものと思われた. |
