アブストラクト(44巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 脳卒中後の食道癌切除例の検討
Subtitle :
Authors : 泉啓一, 阿保七三郎, 北村道彦, 橋本正治, 南谷佳弘, 木村圭介, 木村愛彦, 戸沢香澄
Authors(kana) :
Organization : 秋田大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 4
Page : 472-477
Year/Month : 1996 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1972年から1993年までの22年間に当科に入院した食道癌599例のうち, 術前に脳卒中の既往のある切除症例15例(2.5%)を対象とし検討し, 脳卒中既往症例の特殊性の解明を試みた. 男性14例, 女性1例, 年齢は48~77歳で脳梗塞12例, 脳内出血2例, クモ膜下出血1例の内訳であった. 脳卒中から手術までの期間は脳梗塞が2ヵ月から19年, 脳内出血は8から10年, クモ膜下出血は4年であった. 後遺症は脳梗塞12例中7例, 脳内出血2例中2例で, 片麻痺が4例, 軽度の四肢麻痺が5例であった. 術前合併症は15例中7例に認め, 糖尿病5例, 高血圧症4例, 気管支喘息1例, 腎機能障害1例であった. 術中術後合併症は11例に認め, 縫合不全5例, せん妄3例, 脳卒中2例, 腹膜炎1例, ARDS 1例, 術中心停止1例, 創感染1例であった. 術後意識障害に関しては, せん妄や麻酔覚醒時の異常興奮が5例に認められた. 手術直接死亡率は脳卒中既往例が6.7%, 脳卒中非既往例が8.5%と有意差を認めなかった. 一方, 術後脳卒中発生率は, 脳卒中既往例が13.3%と脳卒中非既往例0.4%に比べ有意に(p<0.01)高率であったがいずれも全治, 退院できた. 以上のことから, 脳卒中既往例においても糖尿病や高血圧などの管理を十分に行うことにより, 食道癌に対する積極的外科治療が可能と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 脳卒中, 外科治療
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