Abstract : |
初期のBjork-Shiley弁は傾斜弁にDelrin discを用いていたが, その材質的問題のため現在はpyrolytic carbon discに変更され, 信頼性の高い弁として最も使用されている傾斜弁の1つである. 20年を経過した僧帽弁位における初期Bjork-Shiley弁の再手術を行い, 摘出弁の形態変化を観察した. Delrin discにはstrutによる深い溝が形成され, disc自体が著しく磨耗して弁座とのクリアランスは開大していた. 本症例では人工弁機能不全を術前に確認できなかったが, 約20年を経た現在disc varianceは必至であり, 当該患者には再弁置換術を視野にいれた経過観察が必要である. 1969年から使用されたBjork-Shiley弁1)には当初, 傾斜弁にDelrin discが用いられていた. しかし, 材質耐久性の問題のため, 1971年からはpyrolytic carbon disc2)に変更されて今日に至っている. 植え込み後20年を経過したDelrin discの所見について述べ, 今後この人工弁置換例の追跡上の参考に供したい. |